年金財源の付け替えは不可 法人税増税が王道

さる記事を読みました。ざっくりまとめると、その記事(便宜上以下Aとします)では

·少子化対策に新たな財源は不要
·幼児に対して給付を!
·財源は親の年金の前借り

といった内容でした。

僕としては上策とは思えなかったので、以下つらつらと

·制度の実現性
ほぼ不可能です。
この制度を子育てする人が使用したとしましょう。
今現在給付対象となる児童は約200万人です。
年間に必要な額は
100*144+100*120=26,400
ざっくり2兆ほどです。
これからさらに年金収支が悪化するとされているなかで、一年あたり2兆円の追加支出をする余裕があるとは考えられません。

·年金制度に対する誤解
Aでは現在の年金制度を前借りが可能な、つまり積み立て方式であるかのようにとらえていますが、実際はもちろん賦課方式です。
つまり今現在納めている保険料は将来の給付を保証しません。
逆にいえば現在の高齢者はこの保証、言い換えれば制限がないために、もらい得となっているわけです。
ゆえに年金制度を積み立て式に転換することが大前提となりますが、これは高齢者の猛反発にあうでしょう。だいたい三号年金すら解決していない現状で、フリーライダーを許さない制度など構築できるのでしょうか?
A の筆者はおそらく現行制度が賦課方式であることなど承知の上でこの記事を作成されているものと思われますが、自身の考えた制度を説明する際には積み立て方式を前提にするのはあまりに都合がいい考え方ではありますね。
また、Aの主張する制度はまず余剰金が存在していなければなりません。仮にこの制度に移行したとすると、(積み立て式に転換したとすると、)余剰金は存在しないことになります。そうすると、じゅうぶんに年金を払っていない若い子育て世帯に対しては、世代間の所得移転をさせなければ給付することはできません。つまり結局賦課方式に戻ってしまうわけです。A が主張するほど積み立て方式は良い制度ではないのです。

·誰の年金を誰が使うのか?
Aでは親(両親か片親かは不明確)の年金を前借りする、とのことでした。しかしそれでうまくいくでしょうか?
例えば子だくさんの家庭があったとして、
納めた保険料〈子育て給付
が成立してしまうとこの制度は破綻します。
かといって出生数による制限を設けると、この制度からこぼれ落ちる子どもが発生します。
これを避けるためには子どもの年金を前借りして親が子育てに使用することが最も合理的ではありますが、そうなると親の資質によっては子育てに使われないことも想定されます。

やっぱり法人税増税が王道
子育てができるかどうかは社会が子育てに寛容であるかによるところが大きいと思います。
「わが社は子育て推進企業です!」
とおっしゃる経営者の方々も本音では
「仕事に影響がでない範囲での子育て」
を推進しているにすぎません。
無論反論もあるでしょう。
しかしながら、多くの企業では子育て支援制度は形骸化しています。
主な働き手である男性の育児休業取得率を見ても明らかです。
これは怠慢、あるいは日本の将来に対してフリーライダーであるといえるでしょう。

この意味において、使途を子育て支援に限定した法人税の増税は有効です。
企業が会社員に目に見える結果を求めるように、企業にも目に見える結果を求められる、その有効な手段となるからです。

増税に反対する企業は少子化対策に貢献する気のない企業とのレッテルを貼られることでしょう。
確かに増税はできれば避けたいものです。
しかし子どもが増えれば消費が増えます。
また将来の労働者も増えます。
企業にとって悪いことばかりではありません。

企業には投資だと割りきって法人税増税を受け入れてもらいたいものですね。。。わかってますよね?経団連さん?笑

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