初めに
この記事はデータえっせい: 40代前半男性の所得中央値
のブックマークコメントに「下の世代も貧しいらしいよ」(意訳)とあったので、これを受けて、
私と同年代の所得を彼のブログで提示されていたのと同じ手順で、
1992年と比較したものです。
なお、計算等ミスっている可能性があるので、気になった方は記事末尾にリンクを記載しておきますので、そこからデータを取得して、
同じように分析いていただけたらありがたいです。
というより、誰か30代も分析してください
(中央値の計算なんて10分あればできます。)
仮説設定
社会学には仮説はつきものだよね!!!!!
だから仮説を設定したよ!
仮説:「20代後半男性をバブル期と比較したとき、
その所得は横ばいかむしろ上昇している」
これを今回の仮説として設定しました。
仮説の根拠としては、
・新卒初任給の上昇
・年功序列型賃金を形成する賃金カーブのフラット化
この2点を根拠としています。
新卒初任給については、この20年間でわずかながら上昇しています。。
私がちょろっと見たサイト(大卒初任給|年次統計)では18.5万→20.1万円なので、ちょっとだけ上昇していますね。
また、賃金カーブのフラット化は種々のデータが証明しているので、ここでは省きます。
この2点を考えると、20代後半は、人件費カットといえど、その制度上の低賃金から、カットできる余力はほとんどなく
むしろこの20年資本主義が続いたことによる自然なインフレ(資本主義ではインフレは必然ですがそれはまた別の機会に譲ります)から、
横ばいか、あるいは上昇かと考えました。
また、ネット上のロストジェネレーションで「『俺たちの世代』は捨てられたんだ。若者はいいよなぁ」
と考えている方
(すいませんロストな方々のコメントを見ているとどうもこのように考えている人が一定数おられるのでは?と思ってしまいます。)
は、必然このように、「若者の賃金は上昇している」と考えているものだと思われます。
検証
さて、まずは度数分布と相対度数、累積相対度数です。
なるほど…これを見る限りでは300万までで、42%、
300~400万の間に30%ほどの人がいると、、、
中央値はざっくり325万円あたりですね!!!
実際に計算してみます。
按分値:(50-42.7) / (71.7-42.7) = 0.251
中央値:300 + (100 * 0.25) = 325
はい!325万円でした!!!(安くね?まじかよ。。。)
高いか安いかは置いておいて、つぎは1992年!!!
・・・完全敗北ですね。
299万円までが3割未満ですよ?
現代では4割もいたのに…
お、落ち着いて。中央値を計算しよう
按分値:(50 - 32.7) / (70.4 - 32.7) = 0.46
中央値:300 + (100 * 0.46) = 346
346万円!!!!
なんと!
346 - 325 = 21(万円)
21万円も下がりました!!!!
21 / 346 * 100 = 6
大体6%ほど所得が削られたようです。
もちろん年金保険料が上がってますし、消費税も導入されています。
どこをどう解釈しても
「若者も貧しくなった」
としか結論として適切ではないでしょう。
「若者の○○離れ」ではなく、「カネの若者離れ」が正しいことが
また証明されましたね!
ロストジェネレーションな方々、おめでとうございます!!!
あなた方から下の世代もどうやら全滅してそうです!
老後助けてもらおうなんて思わないでくださいね!無理ですから!
経営者の皆さん!おめでとうございます!
人手不足はこれまで削りに削った賃金を増やせば解消できそうですね!
追記
女性は236.5万円→243万円とわずかながら現代の方が多くなっています。
ただし、1992年と2017年で労働市場に参画している女性の数がほぼ同数なので、
1992年当時では、20代後半には働かなくても生きていける女性(専業主婦だとか、家事手伝い)が
相当数いたのでは?と推測されます。
所得は増えたように見えますが、総体としては、
貧しくなった結果、労働市場に参入せざるをえない女性が増えたのかもしれません
(リンク)
これが舞田氏の使用したものと同一のものと考えられます。
2017年:男女,年齢,従業上の地位・雇用形態,所得(主な仕事からの年間収入・収益),職業別人口(有業者)-全国
1992年:就業構造基本調査 平成4年就業構造基本調査 全国編 従業上の地位・雇用形態(4),所得(12),男女別(3),年齢(12),有業者数,全国(1)