チャレンジテストの功罪(2)

前回は主にチャレンジテストの弊害に焦点を当てて見ました。

では、チャレンジテストが現実に及ぼしている「功」とは何でしょうか?

*現状を部外者が知ることができた
これが一番大きな功と言えるでしょう

大阪府は全ての問題の正当率を公開しています。これは単純なエクセルデータですが、学力格差の根源を端的に表現しています。
数学に限っていえば、学力格差の根源は計算力です。

当たり前のことですが、これはとても大切なことです。
中学1年生の約1/3が1月になっても少し複雑な方程式を解くことができません。
「方程式なんか解けなくても他の部分で得点できるだろwwなに言ってんだw」
と思った人もいるでしょう
残念ながらその指摘は当たりません
この文言を使うといかにも当たっていそうですが、この問題では本当に当たりません。
まずは「方程式が解けない」このことを考えていきます

「方程式が解けない」って何?
百聞は一見に如かずとも言いますし、
実際の問題を通して見ていきましょう。
一元一次方程式 -8=3 x+7 を解く
これは今年の一月、中学1年生を対象にしたチャレンジテストで
出題された問題です。
さて、読者の皆様、この問題の正答率は何%だったと思いますか?

63%
です

これを高いとみるか、低いとみるかは人それぞれでしょうが
僕は低いと思いました。
「-3X=8+7」
「-3x=15」
「x=-5」
ですね。簡単ですね。
ここで僕は「簡単」と言いましたが
正しくは「解き方を知っていれば簡単」なのです

そう、この正答率は解き方を正しく知らない生徒が
約3分の1を占めている、
という現状を教えてくれています。
初歩的な方程式が解けないと、方程式以降の学習内容を
定着させるにも多大な労力が必要になってしまいます。

方程式の文章題は解けませんし、関数は
y=ax
と文字がy,a,xと3つも登場します。
また体積や扇形の面積を求めるためにも
方程式は使います。

おそらく、この方程式を正しく解く筋道が立てられなかった生徒は
これらの分野でも曖昧な知識が定着してしまっているのではないでしょうか?

僕が個別指導塾でアルバイトをしていた経験からも
方程式をうまく解けない生徒はその後の成績にも大きく響いていました。

じゃあどうやって改善するの?
最も手っ取り早く、かつ効果的なのは教師の人数を増やすことです。
やはりわからない生徒にはつきっきりででも指導すべきです。

もちろん財源は?と聞かれても「どこにもない」としか答えられません
これは理想論ですからね

結局改善策なんてないじゃないか!

いえいえ、諦めるのはまだ早いです。
先ほどの方程式の問題に立ち返って考えてみましょう
「-8=3 x+7」
について
僕の回答までの筋道は
「-3X=8+7」⓵
「-3x=15」⓶
「x=-5」⓷
でした。
一つ一つは大したことじゃないですね
まず⓵では両辺に移行していますね。
もっと言えば
両辺から-8を引き、
両辺から3xを引く。
ですね
⓶では8+7をしています
そして⓷では両辺を-3で割っています。
この流れさえ、生徒に教えることができれば
もう方程式は解けるも同然です
しかもこれはヒトではなくコンピュータのほうが得意です。
これこそが僕がこのサイトで提供している
ツールを作った理由です。
教師を配置するよりももっと安価に、かつ絶対に間違わない
指導役、それがコンピュータにはできます。

なんだか宣伝になっちゃいましたね。
なにはともあれ、このチャレンジテストが
生徒の未来を切り開いてくれるよう期待しております。

睡眠時間を確保しましょうでは睡眠負債は解決しない

はい、表題が言いたいことの全てです。笑

6月18日に放送されたNHK スペシャルで
日本人の睡眠時間が短い、みんな寝よう!
との主旨が伝えられていましたが、
心がけで睡眠時間が確保できるほど日本社会は甘くないですよね………
僕は幸いにも8時間近く睡眠時間を確保できていますが、それもこれも実家に住んでいるからです。
(お父さん、お母さんありがとう。
年を取ると親の大切さが身に染みますね)

さて、僕がこの放送で感じたことがあります。
それは
「睡眠時間の過多よりも、睡眠時間を能動的に確保できているか」
が、重要なのだと思います。

Nスペでも言及されていましたが、確かに世の中には睡眠時間が6時間を切ってても平気な顔してお仕事できる人もいます。
一方で僕のように睡眠時間が6時間台だと頭痛に襲われる人も同じように存在します。

日本社会では、6時間睡眠を基準としているのではないかと思うことが多々あります。
通勤時間を往復で計2時間、拘束時間が最低9時間、起床して身支度に1時間、帰宅して、ご飯とお風呂で1時間と考えると
残りの時間は
24-2-9-1-1=11
なんと11時間しかありません。
しかもこれは始業時間と同時に会社に出社し、終業時間でさっと帰れた時だけです。
無理ですね(ヾノ・∀・`)

この時間配分だと洗濯もしてませんし、
ご飯の用意もしてません

もしこれらの家事をしつつ、
8時間睡眠を実践しようとすれば自由時間は無いも同然でしょう
(生きてる意味なくね?)

ここに子育てや介護が加わるともはや考えることさえアホらしくなりますね

そりゃ少子化にもなりますわ。
みんなまずは自分のことで精いっぱいですものね。

結論:労働時間を減らしましょう

1日は24時間しかありません。
人間らしく生きるためにも、そろそろ労働時間を見直す時期ではないでしょうか?

昔の人はもっと働いていたゾ!
お前もハタラケ!

とおっしゃる方もいられると思うので
のちほど昔の人のライフスタイルを振り替える記事を投稿したいと思います。

チャレンジテストの功罪

今年も大阪にはチャレンジテストの
季節がやってまいりましたねー
(2シーズン制ですが)

この記事では賛否両論、
どちらかといえば批判のほうが多い
チャレンジテストの主に「罪」
の部分に焦点を当てて考えていきたいと思います。

そもそもチャレンジテストって?
簡単に言うと全国学力テストの大阪版です

–学力テストと何が違うの?
→学校レベルでは、各学校間のテストの成績で
 内申点の比率が変動します。
→個人レベルでは、チャレンジテストの成績で
 取りうる内申点の値が変動します

…実はこの2点が同時に存在してしまったことで
大きな問題を引き起こしました
大阪チャレンジテスト:別の中学でも大量欠席
– 毎日新聞

この毎日新聞さんの記事からは、チャレンジテストを欠席するという
「作戦」
が読み取れます。

そう、成績下位層にとっては
このチャレンジテストに参加しないことは
自らの内申点を下げないために取りうる
有力な選択となっているのです。

ここで、学校は本来的にはこのような生徒にも
積極的に受験させねばなりませんが
(定期テストを休んでもいいよ!という先生はいないでしょう)
学校側にとっても、成績下位層の生徒が受験しないことのほうが
喜ばしい状況になっています。
もちろんこのことを口に出しては言いませんが
制度の仕組みを見てみれば、
学校側が欠席を黙認しかねない状況を生み出すことが
安易に予想されます。
なぜなら、学校単位の成績を上げるためには、
すべての生徒の成績をまんべんなく上げるよりも、
平均点を押し下げる要因となってしまっている
生徒が受験しない、つまり欠席するほうが、
手っ取り早く学校の成績を上げ、
ひいては休んだ生徒の内申点を実力以上に
押し上げることが可能になるからです。

毎日新聞さんの記事が取り上げたチャレンジテストは
中学1、2年生を対象にした今年の冬のものです。

彼らよりもずっと切実に内申点を上げたい中学3年生に
とってみれば、
成績下位層が欠席し、
上位陣が好成績を納め、
学校としての内申点の基準を押し上げるというのは
どのような学校行事にも劣らない
(ややもすれば最上の9
チームプレーの素晴らしさを伝える場になってしまう
恐れさえあります。

確かに、学校間の学力格差からくる内申点の相対評価は
僕が中学生のころから問題視されていました。
(僕の学校は市内でも最下位を争っていたので
 僕自身は内申点には苦労しませんでした
 そもそも内申点が関係ない私立に進学したのですが…)
この問題を解消するために大阪府では内申点の評価を
相対評価から絶対評価に変えましたが、
今度は教師間での内申点の取りやすさが違うという
不公平を生み出してしまいました。

この状況を打開するためにチャレンジテストによって
各学校の学力を正しく測り、その実力に応じて
内申点の得点比率を変動させる、ということを
大阪府が理想としていたのは
誰もがわかっていることです。

しかし、結局のところこの方式でも問題は存在することから
そもそも内申点という評価方式そのものに
限界があるというほかないようです。

中学3年生を対象にしたチャレンジテストは今週行われます。
今回は戦略的欠席が発生しないことを祈るばかりです。

ここまでかなりチャレンジテストに対して
批判的に論を展開してきましたが
次回の記事では、「功」の部分にも
スポットライトを当てていきます。
チャレンジテストの功罪(2)に続く